信じるより観察する方が面白い?陰謀論ウオッチャーが語る界隈のリアルと回避術
ネットの海を漂っていると、ふとした瞬間に真偽不明の怪しい情報が目に飛び込んでくることがあります。かつては笑い話で済んでいたオカルト話も、現代のSNS社会では実社会を脅かす陰謀論へと変貌を遂げているようです。今回は、陰謀論ウオッチャーとして知られる黒猫ドラネコ氏に、その界隈のディープな実態を聞きました。
そもそも陰謀論とは、社会の裏側で自分たちを陥れようとする強大な組織や計画が存在するという、根拠の乏しい噂話を指します。黒猫氏によると、最近ではこの噂話にマイノリティーへの攻撃や差別的なニュアンスが混ざり、より攻撃的な性質を帯びてきているといいます。
こうした界隈は、反ワクチンや特定の政治思想など、いくつかのジャンルに分かれつつも、互いの投稿をリポストし合うことで緩やかにつながっています。厄介なのは、当事者たちが自分を陰謀論者だと思っていない点です。SNSのアルゴリズムによって、一度関心を持った情報ばかりがタイムラインに並ぶようになり、気づかぬうちに閉鎖的な世界に取り込まれてしまうのです。
拡散の背景には、アクセス数を稼いで収益を得ようとするインフルエンサーの存在もあります。特に昨今は、強い言葉で特定の対象を叩く動画などが好まれる傾向にあり、それが拡散に拍車をかけています。
黒猫氏は、陰謀論にハマりやすい人の傾向として、生活の困窮や個人的な悩みを抱えているケースが多いと指摘します。つらい現状に対し、財務省のせいだ、外国人のせいだと、自分にとって納得しやすい理由を提示されると、つい飛びついてしまう心理があるのでしょう。しかし、それが選挙の混乱を招くなど、現実の社会問題にまで発展しているのが今の状況です。
では、もし身近な人がのめり込んでしまったらどうすべきでしょうか。突き放して孤立させると、相手はさらに深く暗い方へと沈んでしまいます。まずは根気強く対話を続け、本人が自ら矛盾に気づくのを待つしかないと黒猫氏はアドバイスします。
界隈では、時に耳を疑うような説も飛び出します。人類を奴隷化しようとする爬虫類型の宇宙人レプティリアンの存在や、200年前の泥洪水で人類が一度滅びたため江戸時代は捏造だとするマッドフラット説。さらには、バイデン前大統領が実はゴムマスクを被ったトランプ氏だというゴム人間説まで。これらは小さな違和感を無理やり結びつけた妄想に過ぎませんが、信じている人々にとっては真実になってしまうのです。
かつてのオカルト報道との違いについて、黒猫氏は、メディアは娯楽としてのオカルトと現実のニュースを明確に分けてきたと語ります。しかし、SNSにはその境界線がありません。
新生活が始まり、悩みや壁にぶつかる時期でもありますが、黒猫氏は、ネットに真実はそう多くはないと断言します。自分の苦しみを不確かな情報のせいにするのは現実逃避に過ぎません。陰謀論は信じるのではなく、外側から観察するくらいがちょうどいい。もし興味があるなら、どっぷり浸かるのではなく、ウオッチャー側で楽しむのが正解のようです。