阪神・前川右京が逆襲の狼煙、激化する外野サバイバルにライバル球団も警戒感
崖っぷちの状況が、若き虎の牙をより鋭くさせている。阪神は14日の巨人戦で逆転負けを喫し、首位の座を明け渡した。救援陣が踏ん張りきれず悔しい敗戦となったが、その中で一際存在感を放ったのが前川右京外野手だ。
この日、相手先発の則本ら巨人投手陣を前に打線が沈黙する中、前川はチーム唯一のマルチ安打をマークした。見せ場は2点を追う7回一死一、三塁の好機。甘い初球を逃さず右前へと運び、反撃の口火を切る適時打を放った。この一打が呼び水となり、打線がつながって一時は逆転に成功。敗れはしたものの、背番号58の勝負強さが光る一戦となった。
非凡な打撃センスは入団当初から折り紙付きだが、今季で高卒5年目を迎える。期待されながらもレギュラー定着まであと一歩というもどかしい時期を過ごしてきた。今季は春季キャンプに出遅れ、開幕を二軍で迎える苦いスタート。同学年には、昨秋のドラフトで3球団が競合した期待のルーキー・立石が加わり、左翼の定着争いはかつてないほど激化している。
前川自身も、もはや伸びしろだけを評価される段階ではないことを痛いほど理解している。「1年間を通してやらないといけない。数字を積み上げて信頼してもらえるように頑張りたい」と語る言葉には、主力固定が進む強豪チームで生き残ろうとする必死さが滲む。
こうしたシビアな競争原理こそが、今の阪神の強さの源泉だ。他球団の関係者は「前川のような若手だけでなく、西勇や梅野といった実績組、さらに期待の門別らが二軍で出番を待っている。層の厚さはセ・リーグで群を抜いている」と舌を巻く。
長いシーズンの戦いにおいて、こうした飢えた戦力が控えていることほど怖いものはない。首位陥落という一時的な足踏みはあったが、王者の底力が真に試されるのはこれからだ。前川が見せた執念は、再び首位奪還を目指すチームにとって大きな希望となるだろう。