絶対王者マリニンが明かした復活の裏側 五輪8位の絶望を救った新境地とは
フィギュアスケート男子で世界選手権3連覇という偉業を成し遂げたイリア・マリニン(米国)が、どん底から再び頂点に返り咲くまでの心の軌跡を語った。2月のミラノ・コルティナ五輪では金メダルの最有力候補と目されながら、フリーでのミスが響き8位という衝撃的な結果に終わったマリニン。当時は「五輪のプレッシャーは人を追い詰める。本命が失敗するという五輪の呪いが自分にも起きた」と悲痛な胸の内を漏らしていたが、わずか1か月後の世界選手権で見事な復活劇を披露した。
短期間で彼を突き動かしたものは何だったのか。米誌「ピープル」の取材に対し、マリニンは世界選手権に向けて取り入れた新たな精神的アプローチが勝因だったと明かしている。彼が行き着いた答えは、他人の期待や周囲からのプレッシャーを完全に遮断し、純粋に自分のために滑ることだったという。
五輪の時のような極限の精神状態とは一変し、世界選手権では「これがシーズン最後の演技だ。さっさと終わらせよう」という、ある種のリラックスした心持ちで氷上に立った。マリニンは「五輪を経て、全く違う心構えで臨む必要があったのは事実。自分がなぜこの競技を愛しているのかを再確認し、楽しむことに努めるのが重要だった」と振り返る。
絶対王者としての重圧を乗り越え、原点に立ち返った弱冠の天才。「メダルがすべてではないということも学んだ」と語るその表情には、結果以上の収穫を得た自信が滲む。苦難を経て一回り大きく成長したマリニンの存在は、来季も日本勢にとって最大の壁として立ちはだかることになりそうだ。