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「紀州のドン・ファン」元妻の無罪維持 大阪高裁、検察の控訴を棄却

「紀州のドン・ファン」として知られた和歌山県の資産家・野﨑幸助さんの死亡をめぐる裁判で、大阪高裁は3月23日、殺人などの罪に問われていた元妻の控訴審判決で、検察側の控訴を棄却した。これにより、和歌山地裁が言い渡した1審の無罪判決が維持されることになった。

野﨑さんは2018年5月、和歌山県田辺市の自宅で死亡。死因は急性覚醒剤中毒とされ、検察側は、元妻が致死量の覚醒剤を何らかの方法で摂取させたとして起訴していた。

裁判では、元妻が覚醒剤の密売人と接触していたことや、事件前後のインターネット検索履歴、死亡当日に1階と2階を複数回行き来していた点などが争点となった。検察側は、これらの状況証拠を積み重ねることで「犯人は元妻以外に考えられない」と主張。一方、弁護側は一貫して無罪を訴えていた。

1審の和歌山地裁は2024年12月、元妻が密売人に接触した事実自体は認めつつも、受け取った物が本当に覚醒剤だったと断定できないことや、検索履歴も殺害計画を直接示すものとは言い切れないことなどから、有罪認定には至らないと判断した。さらに、野﨑さん自身が第三者を通じて覚醒剤を入手できた可能性や、誤って過剰摂取した可能性も完全には排除できないと指摘し、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則に沿って無罪を言い渡していた。

控訴審でも、この1審判断が大きく覆ることはなかった。大阪高裁は、検察側が求めた新たな証拠調べや証人尋問を退けたうえで、最終的に控訴を棄却。結果として、1審の無罪判断がそのまま維持された。

この事件は、世間の注目度の高さに加え、状況証拠だけでどこまで有罪認定ができるのかという点でも大きな関心を集めてきた。今回の判決は、直接証拠が乏しい中で、裁判所が慎重な立場を崩さなかった形といえる。

今後の焦点は、検察側がさらに上告するかどうかに移る。仮に上告が見送られれば、元妻の無罪は確定する見通しだ。

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