漫画の先に人間を見る TAJIRIが語る創作とプロレスの意外な共通点
世界を股にかけて活躍してきたプロレスラーのTAJIRIにとって、漫画は単なる娯楽の枠を超えた存在です。コンビニなどで手に入る思い出食堂といったシリーズも頻繁に手に取るといいますが、彼の視点は一般的な読者とは少し異なっています。一見すると料理をテーマにした作品であっても、彼がそこから受け取っているのは、その奥に描かれている人間ドラマなのです。
結局、自分の趣味は人間観察なのだとTAJIRIは分析します。漫画のストーリーを楽しむというより、そこに描かれた人々の感情や関係性に強く惹かれるといいます。生まれつき人間に興味があり、街中で少し変わった人を見つけるのが好きだという彼の感性は、日常の中にある絶妙な違和感や個性を鋭くキャッチします。
この鋭い観察眼は、意図せずとも本業であるプロレスに還元されています。本人は意識的に結びつけようとしているわけではないと語りますが、内側に蓄積された人間への洞察が、自然とリング上の表現として溢れ出しているようです。
プロレスの本質について、TAJIRIは人間が人間を相手に人間に見せる商売であると断言します。技術の応酬や勝敗の結果だけでは、エンターテインメントとして成立しないという考えが根底にあります。観客が会場に足を運ぶのは、どこにでもいる普通の人を見たいからではありません。日常では出会えないような変な人たちの生き様を求めているからこそ、表現者としての個性が不可欠になります。
漫画を通じて人間をどう見せるかを学び、それをプロレスという自己表現の場に落とし込む。何を見て、何を感じるかという日々の積み重ねこそが、TAJIRIという唯一無二のレスラーの深みを作っていると言えそうです。