ヤクルト池山監督が振るう弱者の兵法、名参謀の伊勢孝夫氏が分析する快進撃の正体
開幕前の最下位予想をあざ笑うかのように、池山隆寛監督率いるヤクルトが快進撃を続けている。開幕4カードを終えて8勝3敗。雨天コールドで敗れた阪神戦を経ても首位の座を死守している姿は、まさに驚きの一言だ。かつて野村克也氏の右腕として黄金時代を支えた伊勢孝夫氏は、この躍進の裏にノムさん譲りの弱者の兵法が息づいていると指摘する。
象徴的なのが、11試合を消化してチーム全体の犠打がわずか1という極端な数字だ。岩田、増田、伊藤といった俊足の若手を並べることで、わざわざアウトを献上するバントを避け、次の塁を狙う積極性を促している。伊勢氏は、走塁への自信が根拠のない無謀な策ではなく、池山監督なりの計算された采配であると評価する。高卒3年目の捕手、鈴木叶の落ち着いたリードや、新守護神キハダを中心とした安定感のあるブルペンも、接戦をモノにする大きな要因となっている。
ヤクルトという球団は、昔から伝統的にお調子者の集団だ。古田敦也氏や広沢克実氏、そして何より現監督の池山氏自身がその筆頭だった。伊勢氏は、戦力不足と言われる中で若手が良い意味で勘違いをし、勢いに乗ることこそがヤクルトの強さだと語る。データの少ない若手の起用が功を奏している面もあるが、彼らが自信を深めて主力へと成長していく過程は、過去のジンクスを彷彿とさせる。
もちろん、勢い任せの集団だけに、連勝の後に大型連敗を喫する危うさも孕んでいる。阪神を中心としたリーグ全体の勢力図が簡単に塗り替わるとは限らない。それでも、池山監督が野村イズムを継承しつつ、選手の機嫌を損ねないマネジメントを徹底すれば、今年のセ・リーグを面白くかき回す存在になることは間違いなさそうだ。