ヤンキースが賭ける「掘り出し物」の正体。ドジャース出身の21歳、リニャン獲得に透ける“育成の自信”と逆転のシナリオ
開幕までカウントダウンが始まる中、ニューヨーク・ヤンキースが動いた。一見すれば、内野手のホルビド・ビバスを放出した単なる人員整理にも映る。だが、交換条件としてナショナルズから引き抜いたショーン・ポール・リニャン(21)という名に、目の肥えたニューヨークのメディアは色めき立っている。
今オフのヤンキースは、お世辞にも「盤石」とは言い難い。エースのゲリット・コールやカルロス・ロドンといった主力のコンディションには常に不安がつきまとい、若手のルイス・ヒルも計算が立つまでには至っていない。ファンやメディアの間に漂う「このままで大丈夫か」という閉塞感。そこへ投げ込まれたのが、コロンビア出身の“謎の右腕”だ。
リニャンの経歴を紐解くと、ヤンキースの意図が透けて見える。もともとは「投手の宝庫」として知られるドジャースが国際フリーエージェントで発掘した素材だ。昨季はマイナー4階級を渡り歩きながら、77.1イニングで106奪三振をマーク。特筆すべきは、メジャー公式サイトも「最大級の武器」と評価するチェンジアップのキレだ。
近年のヤンキースは、他球団で埋もれていた素材を独自のメソッドで開花させる「再生工場」としての側面を強めている。実績こそ皆無だが、奪三振能力という突出した個性を備えるリニャンは、まさに彼らが好む「原石」そのものと言えるだろう。
もちろん、21歳の若者にすぐさまローテーションの救世主になれというのは酷な話だ。しかし、停滞したチームの空気を変えるのは、いつだって計算通りのベテランではなく、こうした「不確定要素」がもたらす爆発力である。
地味な補強と揶揄された今オフ。だが、春の終わりに滑り込んできたこの若き右腕が、数ヶ月後にブロンクスで喝采を浴びているようなら――。その時、このトレードはヤンキース逆襲の「ターニングポイント」として記憶されることになる。