多摩市長選は「AIメイヤー」封印で素顔の挑戦 松田道人氏が落選も白仮面復活を宣言
任期満了に伴う東京都多摩市長選が12日に投開票され、現職の阿部裕行氏が5選を決めた。一方で、告示前日に急きょ出馬を表明し、唯一の対抗馬として挑んだ松田道人氏は惜しくも及ばなかった。落選という結果ではあったが、松田氏の表情にはどこか晴れやかな色が浮かんでいた。
当初は現職以外に立候補の動きがなく、無投票当選が確実視されていた今回の市長選。松田氏は「市政に不満を持つ人たちの受け皿が必要だった」と、土壇場での参戦理由を語る。2014年から数えて4度目の挑戦となったが、今回は「よく出てくれた」と有権者から感謝の言葉をかけられる場面も多かったといい、白紙委任を防いだことへの手応えを口にした。
注目を集めたのは、そのビジュアルだ。近年の都知事選や衆院選では白仮面を被った「AIメイヤー」として活動してきた松田氏だが、今回は本名と素顔で勝負に出た。「生まれ育った街で顔を隠す意味はない」と地元への愛着を見せつつも、今後の活動については再び「AIメイヤー」への復帰を明言した。
松田氏が仮面にこだわる背景には、現代の選挙制度への強い危機感がある。名前も顔もプライバシーもすべてを晒さなければ立候補できない現状が、政治参加のハードルを上げていると指摘。まずは匿名で立候補し、手応えを得てから実名に切り替えるような「入り口」が必要だと主張する。
選挙期間中には、配送ドライバーとして働きながら再起を図る宮沢博行元衆院議員が応援に駆けつける場面もあった。リスクが高すぎる政治の世界を「普通の人が来られない場所」と断じる松田氏は、匿名性を守る仕組みづくりこそが裾野を広げると信じている。
すでに年内の選挙に向けて「AIメイヤー」軍団の候補者がスタンバイしているという。異色の活動を続ける彼らが、次にどの街へ現れるのか。白仮面たちの再始動は、すぐそこまで迫っている。