阪神・桐敷拓馬が執念の今季初セーブ 後輩・茨木のプロ初白星を死守した雨中の熱投
甲子園に降りしきる雨を切り裂くような快投だった。4月9日、本拠地で行われたヤクルト戦。阪神の桐敷拓馬投手が7回から2番手としてマウンドに上がり、1イニングを無失点に抑え込む魂のピッチングを見せた。直後の攻撃中に降雨コールドゲームとなったため、図らずも今季初セーブという記録が舞い込んだが、その数字以上に価値のある救援劇となった。
足元がぬかるむ最悪のマウンドコンディション。それでも桐敷の集中力が途切れることはなかった。ストライクを先行させる意識を貫き、冷静にアウトを積み重ねていく。試合後、本人は「マウンドの状態は悪かったが、しっかりゾーンで勝負することを意識した」と淡々と語ったが、その表情には確かな手応えがにじんでいた。
この日の登板には並々ならぬ決意があった。前回5日の広島戦では、同点の9回にサヨナラ本塁打を浴びるという屈辱を味わっている。その反省を糧に「攻めの姿勢」を再確認して臨んだ聖地のマウンド。リベンジを果たした左腕が何より喜んだのは、先発した若武者・茨木秀俊投手の記念すべきプロ初勝利を守り抜いたことだ。
茨木とは学生時代を新潟で過ごしたという共通点がある。期待の後輩が手にした白星の権利を前に「絶対に消してはいけない」と自らにプレッシャーをかけたという。結果的に無失点でつなぎ、見事に初勝利をアシスト。「貢献できて本当にうれしい」と語った時、ようやくその表情が和らいだ。
チームの勝利と後輩の門出、そして自身の復活。雨の甲子園で演じられたこの熱い継投は、これからのタイガースの快進撃を予感させるに十分な一幕だった。