トランプ氏が2週間停止に同意 イラン提示の10項目に広がる波紋
米国のトランプ大統領が7日(日本時間8日)、イランに対する攻撃を2週間見合わせる方針に同意したと明かし、緊迫していた情勢がひとまず小休止を迎えた。トランプ氏は、この2週間が最終的な和平合意につながる可能性があるとの見方を示している。
ただ、その裏側では早くも疑問の声が広がっている。イラン側が示したとされる10項目の提案には、米国にとって受け入れがたい内容が並んでいるためだ。事実上の停戦に見えても、実際には次の局面へ向けた時間確保ではないかとの見方も浮上している。
トランプ氏はこれに先立ち、ホルムズ海峡を開放しなければ「すべての発電所と橋を破壊する」とイランに警告。合意の期限は米東部時間7日午後8時(日本時間8日午前9時)に設定していた。さらに、その数時間前には自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「今夜、一つの文明が滅びる。そして二度と戻ることはない。私はそんなことが起きてほしくないが、おそらく起きるだろう」と投稿。この「一つの文明が滅びる」という表現は、国際人権団体などからジェノサイド(集団虐殺)にあたる可能性があるとして波紋を呼んだ。
その後、期限のおよそ90分前になって、トランプ氏は2週間の攻撃停止を発表。「イランから10項目の提案を受け取った。それは交渉の基盤として実行可能だと考えている」と説明した。
しかし、問題はその中身だ。10項目には「ホルムズ海峡の支配をイランが継続する」「ウラン濃縮の容認」「米戦闘部隊の地域からの撤退」といった、米国が到底のみ込めないとみられる条件が含まれている。
もともと米国は、高濃縮ウランを排除する目的で昨年6月、そして今回と、イランへの攻撃に踏み切ってきた経緯がある。ここでウラン濃縮を認めれば、軍事行動の大義そのものが揺らぎかねない。
加えて、攻撃後にイランが事実上封鎖したホルムズ海峡の開放をトランプ氏自身が求めているだけに、海峡支配の継続という条件は真っ向から対立する内容だ。さらに、米軍は現在、バーレーン、カタール、クウェート、UAE、サウジアラビア、イラクなどに拠点を構えており、ここからの撤退はイスラエル防衛や対テロ作戦を含む地域戦略全体の弱体化につながる可能性がある。
なぜ、こうした難題を含む提案に対して、あえて2週間の停止期間を設けるのか。米国事情に詳しい関係者は、イラン側の条件には前述の3項目に加えて「すべての主要制裁の解除」も盛り込まれていると指摘する。これを受け入れれば、戦争前よりもイランの自由度を高める結果になりかねず、米国にとって現実的とは言い難いという。
そのうえで、この関係者は、米国が提案を精査する姿勢を見せながら、実際には2週間の猶予を使って精密誘導爆弾や攻撃ドローン、戦闘機の運用態勢を立て直す可能性があるとみる。米軍の大規模空爆では、2週間単位で補給や整備のサイクルを取るケースが多いとされ、地下のミサイル貯蔵施設の破壊確認や、地下核施設からの核物質移動の監視、ミサイル基地の再配置の確認などを進める時間にもなり得るという。
表向きは停戦でも、見方を変えれば次の大規模攻撃までのインターバルというシナリオも否定できない。米国とイランは仲介国のパキスタンで10日にも交渉に臨む予定だが、この2週間が本当に最終合意への道筋となるのか、それとも新たな緊張の前触れとなるのか、世界の視線が注がれている。